ただしいこと

コーチな話

お久しぶりです!

ここ数ヶ月は遅れながらも開幕したフットサルの試合とチームの帯同、仕事では相変わらずのコロナのドタバタもあってブログに気が向かず(手が向かず?)遠のいていました。

審判はというと、本来なら春先に開幕しているはずだった各リーグ。新型コロナウイルスの影響で延期になっていた分が夏・秋に開幕し、例年以上にスケジュールがパンパンになっています。加えてカップ戦や選手権関係もあってマジでしんどい…。
ただ、たくさんの試合を担当させていただけているおかげで、様々な視点や意見、発見を得ることができています。

今回はそんな数ある試合の中から感じたことをお話しします…というか、皆さんで考えてもらいたいなって思います。

トゲトゲした言葉

先日担当をしたU15のサッカーの主審。

片方のチームは人数ギリギリで、ベンチには監督の先生と生徒が2名控えでいる程度。
もう一方は人数・実力もあるチームでした。

人数の少ないチーム(以下Aチーム)は人数も少ないですが、レベルも選手によって大きく違います。上手い選手が8名ほどいて、その選手はどの選手も上級生の様子です。
その中にチラホラ小さな選手や初心者だろうなという選手が数名いました。

でも、アップの時からAチームの雰囲気が少し変な様子。
変というか、違和感を感じていました。

違和感というのは「トゲトゲとした言葉」

「ジュニアユースのチームなのにやけにきついな…」
「監督の先生も何も言わないし、というか指導もしないし、きっと本当に帯同しているだけなんだろうな。」

そんなことを感じながら準備していました。

そして始まった試合。
試合は早い段階からもう一方のチームが内容も得点も上回っていて、若干勝負ありな空気でした。
Aチームはというと、最初は勢いも良かったですが、段々と精度が落ち始め、点数も開いて、ミスも重なりだす悪循環。

そのあたりからチームの空気が変わり始めました。
試合は後半の中頃。
何点目かの点数が決まり、Aチームのキックオフで再開した時です。
初心者だろうなと思っていた3番に向かって仲間がパス…なんですが明らかに追い付けないボール。

「いやー、今のはパサー側が雑すぎる」と感じていたんですが、次の瞬間「おーい!何やってんだよ!それくらい追いつけるだろ!」と自チームの数名が言い始めました。
そこから3番に向かってパスが集中する様になりました。
でもどれも明らかに追い付けない、取れないボールばかり。
その間も「何やってんだよ!」「とれよー!」「いーやー…ありえないだろ!」
と責め立てる言葉の数々。

ベンチに戻った上級生も煽り始めています。
先生はというと…メモを取るだけの様子で何も言いません。

「たぶん…いや確実に、負けてる理由を3番のせいにしようとワザと出してる。ミス誘ってる。」

不慣れな3番はそれでも懸命に走って取りに行こうとしていますが、上手くいきません。
ミスしたあとの「ごめん」の声も心無しか細くなっていってます。

自分に出来ること。

そう気づいてからは、対角線式審判法も無視して、ことあるごとに3番の近くに行って「ドンマイ!次頑張ろう!」と声かけました。
最初はこっそりとすれ違い様に聞こえるように声かけしていましたが、終わりの頃は自分がプレーヤーの時の大きさの声で「ドンマイ!大丈夫!ナイスファイト!」って言ってました。

片方のチームの特定の選手にだけ声かけると不公平に感じたので、両チームのどんなプレーでも「ナイスファイト!良いプレー!」って声かけました。

叱責していた選手達も主審の意図を感じたのか、終わりの頃には何も言わなくなってました。
そして大差のまま試合終了。

整列して挨拶する時に「良いプレーもたくさんあったから次はポジティブな声かけで頑張ってね!」とだけみんなに聞こえるように言いました。

その後は3番を含めAチームの関係者ともお話する機会や時間がありませんでしたが、少しだけでも伝わってくれていると良いなって思いました。

審判員である前に。

これはフットボールを使った「いじめ」だと思います。

仮にいじめじゃなくても、こんなフットボールが楽しいですか?って聞きたい。

ひょっとすると悪気なんてなかったのかもしれない。
感じてたけど、それに乗っかっただけかもしれない。

フィールドにいる21人が楽しくても、1人が辛く悲しい思いをするのなら、やっぱり守って変えていくのも審判員の仕事かなって思います。

審判なのに感情入り過ぎとか、そこはチームの問題とか様々な意見があるとは思いますが、やっぱりフットボールは誰にでも楽しいスポーツであって欲しい。
3番には余計なことをしたのかもしれないし、かえって恥ずかしい思いになったかもしれない。

 

でも、少しだけでも彼にとってフットボールが楽しいもので、明日もボール蹴ろうと思ってくれるのなら、試合中に声かけた意味はあるのかなって思います。

審判なんてのは判定の正誤やパフォーマンスに目が行きがちですが、そのスポーツやそこに関わる人々がより良い方向にいけるように導くことも大切なんじゃないかなって改めて感じました。

答えがないからこそ、楽しくて難しい。
改めてそんなことを感じた試合でした。